コラム1 マーケティングの基本は人口動態

確実に減ってゆく、日本人

毎日、一生懸命働いて、お客様に喜んでいただく代わりに、御代をいただいて、日々の生活をまわしている私たち。

もし、あなたのお客様が、ほぼ日本人だけに限られているとしたら、今と同じように働いても、目の前に現れるお客様は、これから確実に、減り続けます。なぜって、日本人が減るからです。特に、お金を稼ぐ、いわゆる現役世代、(世界的な統計指標では、一応、15歳から64歳ということになっています)は、今後30年、2045年までに、ほぼ25%減ると予測されています。

 つまり、今と同じように一生懸命働いても、自分には何の落ち度がなくても、収入は、今の3/4に、間違いなく、減ってしまうというわけです。

確実に、増えてゆく世界の人口

一方で、世界に目を向けると、人口は増え続けています。今、2016年には、世界の人口は74億人だといわれています。そして、一日に20万人づつ、増えているそうです。

マーケティングの基本の基本は、人口動態です。人口動態とは、ある一定期間内の人口の変動、のこと。人口動態は、マーケティングの世界では、約束された未来、とも言います。現在、世界で20-24歳の人口が6億人いるとすると、10年後には、30-34歳の人口がほぼ、6億人になります。何らかの理由で減ることはあっても、増えることは絶対にありません。

そして、人口が多ければ、そこには大きな生活があり、大きな労働があり、大きな消費があります。


日本を訪れる外国人観光客は、猛烈な勢いで増えています。安房にいると、なかなか、実感がわきませんが、一歩、安房を出ると、銀座も、鎌倉も、京都も、本当に外国人でいっぱいです。安房でも、鋸山に行くと、外国人観光客がたっくさんいます(ぜひ、行ってみて下さい)。

何故、外国人観光客が増えているのか? 政府が促進したから? 円安になったから? 日本がいい国だから?  すべてその通り、です、でも、ものすごく大きな目で見れば、日本人以外の人口が、増えているからです。外国人の人口が増えているからです。

 

人口が増えるのはいいことなのか? 

外国人がたくさん来ることはいいことなのか? 

どうなんでしょうか 私にはわかりません。わかったところでどうにもなりません。

いい、わるい、にかかわらず、それはもう、起きていることで、これからも続くことです。 

約束された未来です。

安房にも、ほうっておいても、これから、外国人観光客はやってきます。

間違いなく、やってきます。

それなら、備えておきましょう。

やってきた方々には、日本人、外国人、にかかわらず、満足してもらって、喜んで、お金を落としていってもらいましょう。

早くアクションを起こした人ほど、もらえる額が大きくなるという、現金な話、です

 

Sep. 2016 外国人観光客を安房に呼び込み隊 名ばかり隊長デグチヒロシ


コラム2 買う前にわかる売り

買ってからわかる良さはたくさん

マーケティングをしていると、「あなたの売りは何ですか?」と言う質問によく突き当たります。

本気で商いをしている方なら、自分の商品、サービスが、いかに他より優れているか、どこがいいのか、いくらでも語れることでしょう。

うちのレストランは、素材も新鮮、料理人も経験豊富、サービススタッフも心を込めて接待するし、掃除も行き届いて清潔だし、値段も高いこと言わないしね、、、

すばらしい!新鮮でおいしくて、いいサービスが受けられる、素敵なお店です。でも、その良さは、お店に来てもらって、テーブルについてもらって、オーダーをしてもらって、お食事を運んで、食べてもらって、初めて分かる売りです。

まだそのお店を知らない人には、伝わらない売りばかりです。

Phot By Kenichi Genma

買う前にわかる売りは絞って

買ってからわかる売り、は、何年も商売をして、地域の方々に愛されているお店なら、たくさんあります。もう、地域の方に愛されちゃっているなら、わざわざ、買う前にわかる売りをアピールしなくても、昨日と同じお客さんが、買ったから知っている売りを求めて、今日も来てくれます。

でも、地域の方々、そのものがいなくなっていくとしたら、今までそのお店を知らない、地域外の方に来てもらわないことには、お店の売り上げは、減り続けます、確実に。

買う前にわかる売り、それが、「唯一無二」だったり、「圧倒的な差別化されてる」だったりしたら、事は簡単なのですが、そんなに「凄いこと」は、そうそうありません。そこで、大切なのは、戦略的に、売りを絞って、とがらせて、お客様の心の奥深くに刺さる、「買う前にわかる売り」に仕立てることです。


売りを絞る、まずは勇気が試される

海外旅行に行こうかな、、、と思っている人は、台湾にも、タイにも、フランスにも、合衆国にも、世界中どこにでも、たくさんいます。行先は、万里の長城かもしれません、カリブの海かもしれません、アフリカのサバンナかもしれません。そんな方々に、「安房に行きたい」と思わせる力がある売り、買う前にわかる売り、を発信しなければならないわけです。

海がきれいで、花が咲いていて、寿司がうまくて、温泉だってあって、イチゴも摘めて、、、、いいことづくめ、ですが、いっぱいありすぎて、刺さりません

     「なんでもあるは、なんにもない」

これが、マーケティングを語るときに、一番大切な心得です。

安房には沢山の売りがあります。でも、まだ、買っていない、ここにきていない方々に、あれもこれもと全部をアピールしていては、絶対に伝わりません。刺さりません。

 

そこで、例えば、

・日本唯一の 

「神々の台所 The Kitchen for Gods of Japan」

日本で唯一、料理の神様を祭る神社が安房にはある 

「神々の台所 The Kitchen for Gods of Japan

と言う一言で、ひたすらアピールします。まだここを知らない人の興味を掻き立てます。ビジュアルにもトコトン凝って、動画も音楽もフル動員して、神々の台所に行ってみたいと思わせます。

他には、何も言いません。

そして、「神々の台所」を求めて、安房の地に来てくれた人、実際にこの地に来た方々には、綺麗な海も、咲き乱れる花も、おいしい寿司も、なんだって、実体験として、アピールして、買ってもらって、広めてもらえるわけです。

 

例えば、のはなしです。

絞ってアピールする売りは何なのか たくさんある売りから、絞っちゃうのは、勇気がいる決断です

でも、勇気をもって、戦略として、決めてゆくべきものです

後藤義光の龍かもしれません

頼朝伝説かもしれません

海の向こうに見える富士に日が沈むことかもしれません

村上春樹の猫の街かもしれません

ストーリーはいくらでも造れます。 でも、あれもこれもはいけません

勇気を持って、戦略的に売りを絞り、そこに集中してアピールしなければ、まだここを知りもしない人々には、絶対に、ささりません

 

Sep. 2016 外国人観光客を安房に呼び込み隊 名ばかり隊長デグチヒロシ


コラム3 ここではないどこか

今日はボリビア明日はサウジ

企業で海外マーケティングをしていたころには、それこそ、今日はボリビア明日はサウジ、と言う感じで、飛び回っていました。悲しいかな、出張なので、行きたいところに行ける、と言う旅ではありませんでしたが、それでも、初めての空港に降り立つときには、わくわくしました。何処へ行っても、そこでしかできない体験が必ず待っています。

ドバイの美しいビーチでは、温泉並みに温かい海水に根を上げ、逆にキンキンに冷えたプールの水に感動しました。

標高4000メートルの高地ボリビア、ラパスの空港では、入国審査の列ですでに高山病状態。

もう、ホントに、これでもか、と言うくらい透明な海、白い砂、の、カリブ海アンティグア・バーブーダのビーチには完敗。

サウジアラビアの夕刻、スーパーで買い物をしていたら、なりひびく美しいアザーンの響きに店を追い出され、広場でお祈りする人々を、茫然と見つめていました。

メキシコには何回も行きました。行くたび暇を見つけては、マヤやアステカの遺跡に足を運びました。日本の古い建物とは違う石の世界。何かが、しみついて、佇んで、訴えかけてくるような、不思議な体験でした。

そこにしかない、何かを求めて

たとえ出張ではあっても、旅の目的は、ここではない、何処か、へ行くことです。日本国内のオフィスにいてはわからない、その国ならではの車の使われ方、を、調査に行く、海外マーケティングだって、そこに行かなければわからない情報を、目で見て、汗を流し、寒さに震え、においをかぎ、風を感じて、探りに行く仕事です。

もちろん観光旅行だって、ここにはないどこかで、そこにしかない、何かを求めていくわけです。

出張で泊まるホテルは、たいてい、その国の首都にある、外資系のハイアットやマリオット、みたいなホテルです。格式、は高いかもしれませんが、どこに行っても、たいてい、一緒、です。

どこにでもある、そこ、です。

値段は高いけど、トイレは綺麗だけど、このホテルへ行くだけ、ならば、わざわざ海外まで行く必要はありません。空港からホテルのカンファレンスルームへ、会議後はまた空港へ直行、と言う日程の旅もありましたが、それでは、何処に行ってきたのかも、わかりません。

1時間でも休憩があれば、街を歩きたい、バスに乗りたい、カフェに入りたい、、、

ここではないどこか、に行きたい

漂泊の想いが、あらゆる旅の原動力です。


 

ここではないどこか、それはここ

ここではないどこかは、こことは違うから、面白いわけです。でも、世の中は、どうやら、どんどん均質化しているようです。観光地としての魅力を上げていきたいなら、ここは非常にデリケートになるべきです。

ここではないどこか、に来たはずなのに、こないだ行ったあそこと同じ、では、がっかりです。

例えば、今となっては、WIFIスポットがどこに行ってもありますつながります、ということ、は、観光地としては欠かせません。ここは、インフラとして、備える部分です。でも、そのWIFIスポットから、旅人が、スマートフォンを通じて、みんなに魅せたいのは、ここにしかない景色です、ここにしかいない人々です、ここでしかできない体験です、、、

あそこではこういうことやって人を呼んでいるから、うちでもやろう、とか、

こういうのがはやっているみたいだから、ここでもやってみよう、とか

みんなあそこに調査・企画を頼んでいるからうちでも頼んで企画してもらおう、とか

 

それでは、ここに来た意味が、ありません。

ここにしかないもの、を、見つけて、育てる。

 

ここではないどこか、それは、ここ、と言う、禅問答のような観光マーケティングの肝

今日始めて、明日には育つ、というものではありません。

でも、ここにしかないこと、を育てる覚悟と戦略で始めて、コツコツと続ければ、やがて世界が気づきます

 

ここではないどこか、それはここだ、と。

 

Oct. 2016  外国人観光客を安房に呼び込み隊 名ばかり隊長デグチヒロシ


コラム4 もう一つの戦い

スマホはあるけど未契約

インバウンド観光促進、に限らず、いまどき、自営業者が参加するようなセミナー、ほとんどが、デジタルがらみ、ネットがらみです。facebookだ! Instagramだ!! youtubeだ!!! 勘弁してくれって言いたくなります。

私、いまだに、携帯電話は、いわゆるガラケーです。
携帯電話が一般化して、周りのみんなが持つようになった時も、まぁ、要らないでしょ、と思って、しばらく買わずにいましたが、気が付けば、私自身が携帯電話を持っていないということが、職場の中で (その頃は勤め人でしたので) 障害になっているという環境になっていたので、仕方なく、契約しました。持っていれば持っているで、使っちゃうわけですけど。

それから十余年

今では、WEBの情報をスマートフォンで見る人がほとんどだ、あなたの商売も、スマホ対応のWEBサイトにしなければいけませんよ、という外圧に負けて、中古のiPhone買いました。家にいると、wi-fiがあるので、契約しなくても、スマホ対応のサイト、の出来具合や見え方をチェックできます。

メール送ってホームページ見て

平成元年、大学を出て自動車会社に就職したときは、コンピューターと言うのは、特殊な部署の方々(電算部、なんて言う部署があったりしました)が使うものでした。大きな計算機、そのもの。やがて、勤務先のデザイン部もマッキントッシュを導入。このMac.で何をしていたかと言うと、フォントのデザインだけ、でした。

今との大きな違いは、この頃のコンピューター、コンセントとプリンター、スキャナーにしかつながっていませんでしたので、データを運ぶのは、フロッピーディスク+足、が基本。スニーカーネット、なんて呼ばれてました。

そして、インターネットがやってきました。私自身はコスタリカで青年海外協力隊員として働いていた、平成7、8年くらいが、日本にも、ネットが、ドカドカと踏み込んできたころではないかと思います。コスタリカの大学で、当然日本語フォントが入っていないコンピューターから、ピー、ガガガガ、とつないで、ローマ字打ち込んで、友達にメール送ってました。ネットにつながって、すごいことしちゃってる自分、って感覚がありましたね、恥ずかしながら。


 

問題は、この時点から頭が切り替わっていないこと

自営業者、小さな会社の経営者、が、外国人観光客を呼び込もう、と言うと、まず最初にしなさい、と言われるのは、ホームページを英語化することでしょう。わかりました、英語のホームページ作ればいいんでしょ、、、この感覚、昔から作ってるチラシの延長で、一度業者に頼んで作ってしまえば、もう、当分は触らなくてもいいよね的な、印刷物のような、変更できないものとして、ホームページを認識している、50歳以上の私たち。20年前、パソコン買って、ネット接続して、初めてWEBサイトを見て、自分の商売でもこんなホームページで商いしたい!と、憧れちゃった時の、その時の自分のままの私たち、昭和チーム。

でも、時代はあっという間に、私たちを置き去りにします。

今のネットの世界は、

・情報は日々更新が基本

・こちらから発信するだけではなく、お客様も、世界中にその場で発信できる

・ビジュアルが重要 動画が重要

・そして、専門家の一言より、ダチの口コミ、の方が重い

と言うような感じで、シフトしているようです。ホームページ作って、高い金払ってSEO対策なんていうこと自体が、時代遅れ感ありあり、です。

ホームページも、今や、居酒屋の黒板のようなもので、毎日、新鮮なネタをどんどんアップしないと、見てもらえないみたい

SNSや、トリップアドバイザーなんていうものがあって、自分の知らないところでも、自分の商売のことが瞬時にアップされ勝手に拡散しちゃっていて

情報多すぎて、ビジュアル勝負じゃないと立ち止まってもらえなかったり、動画で説明しないと、文章なんて読んでくれなかったり

専門家が一生懸命書いた素晴らしいリコメンドより、知り合いがあそこに行ったらよかったよ、なんていう口コミに多くの人が反応しちゃったり

つまり、ホームページ作ったから、ホームページ英語にしたから、一仕事終了、あとはお問い合わせのメール待ち、、、ではなくて、常に、ネットの中で起きていることを注視して、そこについていき、自分からも情報発信して、相手からの情報に応えていかないと、そこに居ても居ないのと同じ、という時代になっちゃってるわけです。やれやれ

こんな世界に誰がした!  私たちです。

WINDOWS作って世界中にコンピューター売りつくしたのも、iPhone造って地球上を電波で埋め尽くしたのも、みんな、大人である私たちがしてきた事です

光回線引いて、インターネットの速度上げたのも、DS造って子供たちをデジタル漬けにしたのも、みんな、大人である私たちがしてきたことです

こんな世界にしたのは、私たち。

16X16のマス目でできたマリオが見たら、今のゲームの主人公たちの実写のような表情をどう思うんでしょうか

この、一時も気の休まることがない、デジタル技術変革の急流に、身を投じて、泳ぎ続けてゆくことが、慣れない英語に対応するより、心理的に疎ましいというのが、実は我々昭和チームが、なかなかインバウンド観光促進に取り掛かれない理由ではないか、と、ひそかに確信しています。

さぁ、こここそが、もう一つの勝負どころ、もう一つの戦いです。 デジタルの世界に飛び込みましょう。

好むと好まざるとにかかわらず、これはもう、インフラなんですから!

 

文明開化の世の中に、電線の下を通ると魂抜かれるよ、と言っていた、江戸時代の人 

電気が来るのを拒んで、ランプと薪で暮らし続けた人の方が、その人自身は、安楽で幸せのうちに余生を過ごしたかもしれません

でも、そんな人たちだけが住んでいた村からは、若い人達は出て行き、やがては廃村になったのではないでしょうか、、、

 

Oct. 2016  外国人観光客を安房に呼び込み隊 名ばかり隊長デグチヒロシ


コラム5 地産、他者も地消 がカギ

地産地消は緩やかな自殺

地産地消がもてはやされています。確かに、地域で取れたものを地域で消費することは、輸送に無駄なコストもかからないし、食の安全もトレイスしやすいし、いいことづくめに見えます。

ですが、ここで、話を少し、極端な方向に振って、地域では、地域で取れたものしか消費しない、と言うところまで話を持って行ってみましょう。地域内で取れたもので、日常生活の消費がほとんどすべてまかなえたとしても、図でもわかるように、残念ながら、電力や水などの消費は、外部からのサービス購入に頼っています。

いや、トコトン頑張って、この、水や電気も、地域で生み出そうという努力をしたら、案外、面白いことになるかもしれません。水は、井戸を掘れば出るかもしれません。電力も、全戸にソーラーパネルつけて、、、

でも、さらに大きな消費、道路や橋にかかわる生活インフラを整えるための税負担、年金や医療にかかわる負担は、この地域だけではどうにもなりません。そこまでやるとなると、独立国の覚悟が要ります。

極論ですが、地産地消をとことん進めても、徐々にこの地域から、お金は外に出て行き、地域内を廻るお金は少なくなり、緩やかに緩やかに、滅んでいきます。

 

他産地消は、サドン・デス

現在の私たちの生活はどうでしょうか? 

外国で取れた食品、かなり食べてます。それでも、食に関しては、ここで取れた米、ここで採れた野菜、そして魚で、結構まかなえると思います。では、服は?この地域で取れた綿を紡いで布を織って、服に仕立てて着ている人、ほとんどいませんね。家を建てるときの資材も、外国から来ているものも少なくありません。地域の山からとれた材木だけで家を建てている人、も、ほとんどいないでしょう。

何を当たり前のことを言っているんだ、と思うかもしれませんが、例えば、昭和40年代の小学校で私が使っていた机、二人分がくっついていて、天板をガバッと開けて中から帳面を取り出すタイプの机、相合傘はあちこちに彫刻刀で彫られていましたが、コクヨとか、オカムラ、なんていうメーカー名は入っていませんでした。それもそのはず、町内の建具屋さんが造った机でした。枇杷農家がかついで山に入った背負子も、漁師が使う網も、みんな、町内、村内で造られたものでした。

今では、ほとんどの生活用品が、外から来ます。その代わりに、お金は出ていきます。出る一方です。

すぐに、お金は枯渇します。サドン・デス(突然死)、です。


カギは、地産、よそから来た人もここで、地消

金は天下のまわりもの、どこかに溜まってものではなく、流れてゆくものです。その流れが、目の前を、太く雄大に、滔々と流れていれば、たとえ今、自分のところにお金がなくても、必死になって溝を掘って、こっちへ流れてくる工夫をしてあげれば、自分の方に関を切ったように流れ込みます。目の前を流れる川が、今にも枯れそうな勢いのない流れでは、一生懸命溝を掘っても、ちょろちょろと、糸のような流れしか引き込めません。世界を廻るお金、日本をめぐるお金、そして、この地域を廻るお金。

要は、ここから出る量より、ここに入る量を多くすれば、この中の流れはどんどん太くなるわけです。

漁師が釣った魚が、一尾500円で、都会から来た仲買人に売れたとします。その仲買人が、1、000円の値をつけて、この魚を都会の食堂に売ります。都会の食堂では、お客様が2、000円のお金を払って、その魚を食べます。お客様が払ったのは2000円、この地域に残ったのは、500円。この差はでかい、どうにかならんか?

2、000円払って魚を食べるお客様に、この地域に来てもらって、1、500円で食べてもらえばいいんです。お客様は、おいしい魚を、その魚が捕れた地元で、より安く食べて万々歳。この地域にも、1、500円のお金が残って、我々も、万々歳。で、このお客様こそが、観光客なんです。

しかも、海外から来てくれるお客様なら、そこに、箸の使い方ミニ講座とか、美しく魚を食す作法教室、なんていうオプションもつけて、もしかしたら、3、000円払って、魚を食べる「体験」を買ってくれるかもしれません。

その3、000円が、そこで働く従業員の給料にもなり、廻りまわって、地元のクリーニング屋や、ガソリンスタンドや、学習塾に流れます。地域内のお金の流れが、太く、深く、雄大に、滔々と流れだすのです。

外国人観光客を安房に呼び込みたい、その理由はここにあります

 

Nov. 2016  外国人観光客を安房に呼び込み隊 名ばかり隊長デグチヒロシ